FANZA(ファンザ)ギャラリー展示作品1
10/4~17にかけて展示予定の大平龍一さんの新作「BIOMBO 48」完成イメージ

FANZAとストリートファッションブランド「#FR2」のコラボギャラリー「FANZA×#FR2 @#FR2 GALLERY 2」で、8月23日(木)から現代アーティスト5人による「Find Your Fantasy」展が開催される。いずれも本格派のアーティストたちの作品を間近で体感できる本展。その見どころについて、本展のキュレーターを務める小高久美子さんに語ってもらった。

FANZA(ファンザ)キュレーター小高久美子氏
本展のキュレーター・小高久美子さん

——いよいよ23日(木)から「Find Your Fantasy」展が始まります。10月末にかけて錚々たるアーティスト5人の作品が入れ替わり展示されますが、全体としてはどのようなコンセプトで企画を進めたのでしょうか?

小高:今回のアート展では、ポップでファッション性の高い「裏原宿」的な展示にはせず、国内外の美術館や知名度の高いギャラリーでの展示経験がある実力派のアーティストを揃えました。常に変化するストリート・カルチャーと、普遍的なテーマを求めるアートというものの架け橋にしたいと考えたからです。アーティストの共通点としては、単なるエロスで終わらず、そこから先をさらに想起させるものを感じる作品を選んでいます。

——たしかに、最初に登場する黒川知希さん(8/23〜9/5開催)をはじめ、いわゆる「エロス直球!」というイメージとは異なります。

小高:黒川さんは、お菓子の包装紙やネット上にある匿名の画像といった、日常にあって私達が軽視してしまうものを、トレジャーハンターのように見つけて絵画の中で再構築しています。エロスは、あらゆる情報が飛び交って混沌としている今の社会において、断片的に散りばめられているもの。彼にとっては、エロスもその中からフラットな感覚で発見された一つのイメージで、展示においてサブリミナル的に私達の脳に入り込んできます。

FANZA(ファンザ)ギャラリー展示作品2
8/23~9/5にかけて展示予定の黒川知希さんの作品「Can’ t concentrate cos the ass flashing through my mind (Non-fiction)」2015年 キャンバスにアクリル絵具 23×23cm

——次は写真家の鷹野隆大さん(9/6〜19開催)です。大御所ともいえる鷹野さんの作品は、どのような特長がありますか?

小高:鷹野さんには、代表作の一つである「ダブルファンタジー」のシリーズを展示頂ける予定です。本来、社会通念とは時代、人、場所によって変化するもので、それをコントロールすることはできません。ですが、無意識のうちに社会通念を不動のように考え、そこに安心を求める人たちは多いと思います。鷹野さんの作品においては、モデルがジェンダーを超えた存在としてポルノグラフィの視点を擬態する事で、“むき出しの現実”を表現しています。そうすることで、社会通念への再考を柔らかに鑑賞者に投げかけていると言えます。

——インパクトのある展示になりそうです。その後は、本格派の油彩画家として活躍されている興梠優護さん(9/20〜10/3開催)ですね。

小高:興梠さんは女性のヌードという“固体”を描きながら、液体のようなとろみ感や気体のようなかすみ感が混じり合って空間に拡がっていくような、非常に幻想的で情感にあふれた作品を描きます。卓越した技術力がなせる技です。触れたくなるような絵肌の質感、移ろう色合い、考え抜かれた構図によって、可視化できない曖昧な雰囲気を私達の感覚の奥深いところに届けてくれます。

FANZA(ファンザ)ギャラリー展示作品3
9/20~10/3で展示予定の興梠優護さんの作品「/ 72」2017年 キャンバスに油絵具 227.3×162.0cm

——後半の展示になる彫刻家の大平龍一さん(10/4〜17開催)、インスタレーションを行う三嶋章義さん(10/18〜31開催)は、ただいま新作を準備されているそうですね。

小高:このお二人は、FANZAのコンセプトに合わせた新作を出して頂く予定です。大平さんはレリーフにスピーカーを内蔵したミクストメディア、三嶋さんは連続写真が回転する最初期のアニメーション機器であるフィナキストスコープ、といった大掛かりな作品ですから非常に楽しみですね。

——本当に個性的なアーティストが集まり、各回に異なる楽しみがありそうです。最後に、今回の展示は「ファッション×性×アート」という三者のコラボレーションでもあります。それぞれのあり方についてはどのように思われますか?

小高:ファッションは、非常に移ろいやすく、一方でその時代の象徴として自己表現の一つになりうるものだと思います。性は、生命にとって切り離す事ができない根源的なものですが、その表現となってくると、時に難しく秘めたるものとしてしまう風潮があります。アートは、新たに価値を見出したり、不可視な存在を可視化したり、思考の枠外にある出来事に目を向けさせ感じさせようとする、現実社会とは少し離れた要素をはらむものです。

——その三つには、どのようなつながりがあるでしょうか?

小高:「日常に彩りと愉しみを与える」という、人間に与えられた“創造する喜び”が共通点なのではないかと思います。私達は、ファッション、性、アートを通し、“ファンタジー”そのものであるこの世界を知っていく事ができるのではないでしょうか。

小高久美子
1977年生まれ ライター、アートキュレーター、心理カウンセラー、愛猫家。白百合女子大学文学部卒業後、渡英、ロンドン総合芸術大学LCFファッションプロモーション&マーケティング科卒業。株式会社amanaにてフォトグラファーレップ、NANZUKA UNDERGROUNDの共同経営を経て「才能と障害の境目」に興味を持ち、心理学、人智学、統合医療を学ぶ。能、茶道を嗜み、日本伝統文化から現代アートまで幅広く探究。境界線を越え、架け橋になる事を目指す。